
英国在住未亡人の遺産詐偽
難民キャンプのお嬢様詐欺
中東派遣女子自衛隊員詐欺、など
難民キャンプのお嬢様 ロマンス詐欺
詐偽の手口
この有名なロマンス詐欺は、若い美人女性の写真をプロフィール画像に用いるアカウントからフォローされ、フォローバッ クすることから始まります。この「国際詐欺探偵団」サイト運営者(仮名「悠斗」)も2019年10月、オリビアという女性にフォローされました。ご参考までに、以下彼女から送られてきたメールを紹介します。

ツイッターを開くとオリビア(アカウン名『Olivia63982273』)という人物にフォローされていた。プロフィール画像は魅惑的な若い外国人女性の写真だ。
このようなアカウントはほとんどが『ロマンス詐偽』目的だ。「詐偽」について呟くことが多い僕にとって、このようなフォローは『飛んで火に入る夏の虫』……即ち僕のツイートの格好の題材となる。フォローバックしてオリビアに(英語で)DMを送った。
「こんにちは、オリビアさん、フォローありがとう。どちらにお住まいですか? 美しい方ですね。貴女についてもっと知りたく思います。ご返事ください」
――きっとオリビアという女性(あるいは男性?)も僕を『飛んで火に入る夏の虫』と思ったことだろう。もう秋だったけど……。
オリビアからすぐにDMが入った。
「ご機嫌いかがですか? お会いできて嬉しいです。重要な用件でご相談したく、ツイッターのDMではなくメールでお話ししませんか? アドレスは、oliviamustafa225@…… です」
「わかりました。僕のアドレスは、……yuuto@……です」
――というわけで、狐(オリビア)と狸(僕)の騙し合いのメール交信が始まった。

以下割愛 全文の和訳↓
「返信ありがとうございます。もう私たちは友だちですから、お互いのことをもっと知り合いましょう。私は、南スーダン出身の二五歳で未婚です。背は五・七フィートの色白の女性で真実の愛を求めています。母国での内戦のため今はダカールのセネガルに住んでいます。
私の父ムスタファ・アブダラ・ムハマドは○○石油ガス会社のCEOでしたが、ある朝反乱軍によって父と母は惨殺されました。私だけは学校に宿舎に住んでいたため助かりました。その後『国連の平和維持軍』の助けを借りてセネガルに脱出しました。南スーダンにいたときに撮った写真を何枚か送ります。どうぞ友だちになってください。
あなたの友だちオリビアより」
僕は、『ムスタファ・アブダラ・ムハマド、○○石油ガス会社のCEO』(英語:Mustafa Abdallahi ibn Muhammad Chairman/CEO of Nonican Petroleum and Gas Ltd)でグーグル検索をした。すると『四一九詐欺』を紹介するサイトが表示され、カリーラ・ムスタファという名前の女性がオリビアと同じ詐欺メールを送っていることが紹介されていた! 女性の写真はオリビアの写真とは異なる別人だ。
http://419.bittenus.com/15/12/Kalila-Mustafa-Abdallahi-ibn-Muhammad.html
更に調べると出てくるわ、出てくるわ、419詐欺のロマンス詐欺が!
http://bittenus2.rssing.com/chan-51222336/all_p129.html
オリビアと同じ写真はJennah Yasin Kareem Kymanyという名前でも使われていた。
その他、次の名前を使うアカウントは違う写真を使って同じ言葉で誘惑していた。Jessica Abdel
Jennifer Abou
Melcie Ibrahim Coulibaly
Precious Drogba
Advance Fee Fraud
日本とセネガルの時差は日本と英国のそれと同じだ。朝、僕はセネガルに住むと自称する女性オリビアに返事を書いた。あちらは真夜中に近い。
「親愛なる友、オリビアさん。自己紹介のメールをありがとう。僕は南スーダンの悲惨な現状について同情を禁じえません。そして貴女の不幸な過去に涙しています。貴女は教養のある素敵な魅力ある女性ですから将来幸せになるべき方です。
僕は世界の多くの国を訪れましたが、アフリカだけは行ったことがありません。一度行ってみたいです。日本は自然災害は少なくありませんが、とてもいい国です。貴女も是非一度日本に来てください。僕は東京で一人で住んでいます。貧しくはなく、貴女と同じ英語を話せます。恋人を求めていらっしゃる貴女と愛し合えたらそれはそれは幸せでしょうが、でも残念ながら僕はリタイアした人間で、もう若くはありません。正直に言って僕は貴女と友だちになる適格者ではありません。貴女にふさわしい人を見つけられることを祈ります」
―『貧しくはなく』という部分はもちろん嘘だ。
夕方、セネガルから返事が届いていた。



「こんにちは、私の愛しい人。
お返事ありがとうございます。あなたのような良い人に会う機会を得たことを神に感謝します。あなたにお会いできて安心しました。神の祝福があなたにありますように……。あなたに返事をするのが少し遅れて申し訳ありません。実はこのところ体調が悪いのです。私があなたに送った写真はすべて私が育った家にいたとき撮ったものです。今住んでいるところでは生活条件が厳しく写真を撮ることなどできません。しかし、私は神とあなたの支援によって元気になると信じています。
私がいるキャンプには多くの難民が生活していますが、旅券もなく移動の自由は制限されています。刑務所に入れられているようなものです。しかしあなたの支援があれば、私はすぐにここから出られるでしょう。
私は一人っ子ですし、私の親類はみな内戦の最中にどこかに逃げてしまい頼ることができる親戚もいません。あなたに連絡をとる前に、私は『どうか私を欺かない正直な人に巡り合わせてください』と神に祈りました。私はあなたのツイッターのプロフィールを見て、あなたが私が求めている人に違いないと確信しました。
私はこのキャンプに来てからの苦労や苦痛に泣きながらあなたにメールを書いています。この国に法律は厳しく、難民には権利とか便宜とかはありません。あなたとは牧師のコンピュータを借りて交信していますが、難民キャンプ管理当局は私たちにインターネットでオンラインで自由に交信することを禁じています。私たちは働くことも禁じられ、食事も日に一回です。これがあなたに連絡をとった理由です。
あなたと『生涯の関係』を築きたいのです。あなたに私についてのすべてをお伝えしますが、命や遺産を失いたくありませんので、それは秘密にしておいて頂きたいと思います。このメールに亡父がロンドンの一流銀行にお金を預けた預金証明書と父の死亡診断書を添付します。


預金証明書には私オリビアの名前が近親者として記入されています。預金の額は570万米ドルです。私は先日その銀行に連絡をとり、父の預金を私のところへ送って欲しいと頼みました。法律によって難民の身分にある私には直接に送金できないので『誰か外国人のパートナーを見つけなさい。その人の口座へなら送金できます』と銀行は言うのです。ですから、私はあなたに私の『外国のパートナー』として私の遺産をあなたの口座で受け取って頂きたいと思います。そして、そのお金からいくらかを私に送金してください。それで私の旅券を手に入れて私はあなたに会いに行きます。
どうか私を助けてください。私はあなたの国へ行って大学に通いたい。内戦が始まり学校へ行けなくなったときはまだ一年生で、卒業していないのです。
あなたが私と話したいときは+221 708440…に電話を掛けて『南スーダン出身のオリビア』 を呼び出してもらってください。この番号はジョージ・マシュー牧師の電話番号です。私の住所はセネガルのダカール…………番地 ○○施設気付です。
もし、あなたに私のお金を受け取って頂けるなら、ロンドンの銀行へ『私の外国のパートナー/身元引受人』としてあなたのことを連絡しますから、次の情報をお知らせください。氏名・住所・電話番号・メールアドレス・職業・出生地・写真……
(中略)
……
折返し、ご返事をいただけますよう祈ります。
あなたのオリビアより ❤ 」

「こんにちは、ご機嫌いかがですか?ご返事ありがとうございます。あなたに神の祝福がありますように……
私たちがこのように交信できるようになったのは神の意志であると信じます。私はあなたを未だよく知ってはいなくても、神はあなたのことをよく知っていて私たちを引き合わせてくれたのです。
今日も私の写真をお送りします。……中略……
私があなたと連絡をとる目的は、私たちが遠くから神に見守られながら、愛と信頼と誠実と相互理解に結ばれた強い絆を築くためです。あの資金があなたに振り込まれたら、私は喜んであなたの国へ行き、あなたと一緒に新しい生活を始めます。私は決してあなたを失望させません。
私を支援してください。お願いします。
あなたのオリビアより」
英文の続きは割愛 全文の和訳↓
――電話で話したいと言うのだから、オリビアは男性ではなく女性だろうと思うかもしれないが、どうせ電話をかける人はいないだろうし、「今はいない」と答えると思う。
僕はこう返事をした。
「親愛なるオリビアへ
貴女についての情報をありがとう。貴女のメールを読む度に涙が溢れてきます。 あなたが僕に会いに日本に来て、ここの学校へ行けるようになったならどんなに幸せだろう。 私はあなたと話したい。でも少し耳が悪いので貴女に電話することを躊躇していますが、あなたが父上のお金を手にして今の私よりもう少し裕福になることを切に望みます。
ところで、これを書きながら、ある友人のことを思い出しました。ニ~三年ほど前に彼はあなたと同じように南スーダンのある大手企業のトップだった人の娘と名乗る女性からメールをもらったと言っていました。貴女もこの話に興味があると思います。彼女の父親の名前は何だったか、また二人がその後どうなったか、彼に訊いてみます。わかり次第すぐにお知らせします」
――僕が「狸』であることは知らない「狐」オリビアからの求愛メールは続いた。

――この辺が潮時だろうと思い、別れを告げた。
「親愛なるオリビア、お便りをありがとう。貴女と生涯の関係を持つことができたなら、私はどんなに幸せだろうと思います。
しかし、ダカールの難民キャンプに住んでいる女性からメールを受け取った友人のことを昨日僕は書きましたね。彼と連絡をとることができたので、その後彼女との関係はどうなったのか尋ねました。彼の答えは次のとおりでした……。
彼女の名前はオリビアではなくカリーラといい、彼女はあなたと全く同じ背丈で、貴女が亡父と呼んだ人『○○石油ガス会社のCEOであるムスタファ・アブダラさん』の一人娘と自称していたそうです。彼は、彼女から必要な費用を少し立て替えて欲しいと頼まれ、それを支払うと今度は別の費用を立て替えるように依頼され、そして次から次へとおねだりが続いて……とうとう彼はお金を使い果たしたようですが、結局彼女には会うことができなかったそうです。彼にとっては何という悲劇だったことでしょう!
……というわけで、これが僕から貴女への最後のメールとなるでしょう。しかし、貴女が誰かの支援で万一東京へ来ることができたなら、僕は喜んで貴女に会い、一緒に幸せな生活を送ることを約束します。
貴女とお話しできて面白かったです。オリビアさん、よかったらこれからも時々メールをください。貴女の悠斗より」
……と生涯の関係を持ちましょうと書いたのに、ブロックされた!
